近年、新潟市内の企業が直面している最大の課題の一つに、労働力不足が深刻化している。帝国データバンク新潟支店が2024年4月に実施した調査によれば、調査対象企業のうち約51%が正社員を、約28%が非正社員の不足を感じており、この比率は高止まりの傾向を見せている。このような状況から、企業は柔軟な働き方を提供し、人材を確保する必要性がこれまで以上に高まっている。
この課題に対し、新たな解決策として登場したのが「にいがたCITYマッチボックス」だ。この就労マッチングプラットフォームは、1日単位や数時間単位での求人を簡単に掲載できる仕組みを提供し、企業が求める柔軟な働き方と労働者を効率よくマッチングするために設計されている。
プラットフォームを開発元である株式会社Matchbox Technologies(マッチボックステクノロジーズ、新潟市中央区)が新潟市から業務を受託し、2024年8月8日から運用が開始された。
「にいがたCITYマッチボックス」の特徴
「にいがたCITYマッチボックス」は、新潟市が提供する1日単位や数時間単位の求人をサポートする新しい就労マッチングプラットフォームである。特徴は大きく3つある。
短期・単発の求人が簡単に掲載可能
1日単位や数時間単位での求人をオンラインで簡単に掲載できる。これにより、繁忙期や急な業務増加に対応するための労働力を効率的に確保できる。地域内外から幅広い求職者を募ることが可能で、企業の採用の幅が広がる。
労務管理が自動化され、業務負担を軽減
求人の掲載から応募者の管理、労務処理までが自動化されているため、企業の管理コストが大幅に削減される。煩雑な手続きを避けつつ、必要な人材をタイムリーに確保できるため、経営の効率化に貢献する。
多様な業種と働き方に対応
飲食業、介護、製造業、スポーツ関連、イベントスタッフなど、多岐にわたる職種に対応している。
リモートワークも含め、多様な働き方に対応しており、求職者にとっても柔軟な就労環境が整っている。
これらの特徴を持つ「にいがたCITYマッチボックス」は、企業と求職者を効率的にマッチングさせ、地域の労働力不足の解消に貢献する新たなツールとして注目されている。これにより、企業は短期的な課題解決だけでなく、長期的な成長にもつながる基盤を築くことができる。
利便性とメリット
「にいがたCITYマッチボックス」は、企業に多くの利便性とメリットをもたらすプラットフォームだ。
まず、求人の掲載が無料で行えるため、採用コストを大幅に削減できる点が魅力である。また、労務管理の自動化機能により、求人掲載から応募者管理、労務処理までの手間が大幅に軽減される。特に、中小企業やリソースが限られた企業にとって、管理業務の負担を減らせることは大きなメリットだ。
さらに、1日単位や数時間単位での求人掲載が可能なため、企業は繁忙期や短期プロジェクトに合わせた柔軟な働き方を提供できる。これにより、必要な人材をタイムリーに確保できるだけでなく、無駄な人件費を抑えることも可能となる。
利用時の留意点
「にいがたCITYマッチボックス」を利用する際には、いくつかの留意点を押さえておくことが重要である。
・短期雇用におけるリスク管理
短期・単発の雇用は、労働契約や条件の明確化が必要である。特に、雇用期間や業務内容、賃金に関する取り決めを明確にしておくことで、トラブルを未然に防ぐことができる。
・労務管理の準備
労務管理が自動化されているとはいえ、企業側での基本的な労務管理の準備は必要である。特に、勤怠管理や給与計算の確認など、システムが処理する部分についても定期的な確認を怠らないことが大切だ。
・求人内容の明確化
求人を掲載する際には、仕事内容や求めるスキル、雇用条件を具体的に記載することが求職者とのミスマッチを防ぐために重要である。特に、短期的な求人であっても、詳細な情報を提供することで、適切な人材を確保しやすくなる。
これらの留意点を理解し、適切に対応することで、「にいがたCITYマッチボックス」を最大限に活用することができる。
利用事例
「にいがたCITYマッチボックス」は、すでに多くの企業で導入され、その効果が実証されている。ここでは、いくつかの実際の利用事例を紹介する。
オイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ
地元プロ野球球団であるオイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブは、ホームゲームでの飲食販売スタッフなどの求人を「にいがたCITYマッチボックス」に掲載している。このプラットフォームを通じて地域の人材を迅速に確保し、イベント運営のスムーズな進行を実現している。特に短期間での採用が求められるスポーツイベントにおいて、同サービスの柔軟性が大いに役立っている。
株式会社弁慶
寿司チェーンを展開する株式会社弁慶は、短期間で必要な人材を確保するために「にいがたCITYマッチボックス」を利用している。このプラットフォームのマッチング機能を活用することで、急な人材ニーズにも迅速に対応できるようになり、人事担当者の業務負担が軽減されたと評価している。
株式会社はあとふるあたご
介護サービスを提供する株式会社はあとふるあたごは、来たる介護人材不足に備えるため、「にいがたCITYマッチボックス」を導入した。「来たる介護人材不足に備え、短時間労働の方も戦力化していく必要があります。その採用ツールとなり大変助かりました」と述べる同社。短時間労働のスタッフも戦力化できるこのツールは、業界構造の変化に対応するための有効な手段となっている。
これらの事例は、「にいがたCITYマッチボックス」がどのように企業の採用活動を支援し、業務の効率化を実現しているかを具体的に示している。これにより、企業は自社のニーズに応じた最適な人材を柔軟に確保できるようになる。
Matchbox Technologies(マッチボックステクノロジーズ)が目指す未来
「にいがたCITYマッチボックス」を開発・運営するMatchbox Technologiesは、日本が抱える労働力不足という課題に対し、テクノロジーを駆使して解決策を提供する企業である。彼らの目標は、企業の柔軟な職場環境づくりを支援し、雇用主も従業員も無理なく、自分らしく働ける社会の実現に貢献することだ。
普及の手段として同社が力を入れているのが、今回の「にいがたCITYマッチボックス」のような自治体との連携である。2024年6月時点で、全国で12の自治体にこのプラットフォームが導入されており、新潟県内では湯沢町、長岡市、南魚沼市、佐渡市で既に運用されている。
特に今回の新潟市での導入は、全国の政令指定都市では初めてであり、Matchbox Technologiesにとっても非常に重要な意味を持つ。同社の地元である新潟市での導入を「重要な実証実験の機会」と捉え、「にいがたCITYマッチボックス」を成功させることで、さらなる飛躍を目指している。
2024年8月5日に新潟市役所で開催された記者会見では、Matchbox Technologiesの佐藤洋彰代表取締役社長が「事業家人生を賭けて取り組んでいきたい」と語り、同社の決意を強調している。このプラットフォームの成功は、地域社会における労働力の活用と、多様な働き方の実現に向けた新たな一歩となるだろう。
【企業情報】
株式会社Matchbox Technologies (マッチボックス テクノロジーズ)
設立:2015年7月1日
代表取締役社長:佐藤 洋彰
本社所在地:新潟市中央区女池上山3-14-10
東京本部:東京都千代田区神田錦町3-4-2 藤和神田錦町ビル3F
ホームページ:https://www.matchboxtech.co.jp/
未来を見据えた人財発掘の新しい形
「にいがたCITYマッチボックス」は、地元の市場で旬の食材を厳選するように、企業がその時々に必要な人材を自由に選び、確保できる仕組みだ。しかし、このプラットフォームの魅力は短期的な人材確保だけに留まらない。必要な人材を見極め、自社に合った人財を発掘し、その後の長期的な活躍にも繋げることができるという点でも、企業にとって非常に価値がある。
適切な時期に最適な人材を選ぶことができるこの仕組みは、長期的な雇用にもつながり得る「ベストなマッチング」を実現するツールでもある。これにより、企業は一時的なニーズに応じた人材確保だけでなく、将来的な人材の育成と確保にも寄与できる。
新潟市が抱える労働力不足という課題に対して、「にいがたCITYマッチボックス」は地域全体の人材を効果的に活用し、多様な働き方の実現を促進する役割を果たしている。このプラットフォームがもたらす新たな可能性に、今後も注目していきたい。
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