完全オフライン対応の生成AI「Chimaki」(チマキ)が切り開く未来|株式会社K-walk(新潟県加茂市)

IT・AI

新潟県加茂市に拠点を置く株式会社K-walkが、注目のAIシステム「Chimaki(チマキ)」を開発した。このシステムは完全オフライン対応という特徴を持ち、インターネット接続が不要で使えるという、とてもユニークなAIだ。

なぜこの「Chimaki」が今注目されているのか、その理由を紐解いていく。

「完全オフライン対応」の意義

「Chimaki」の大きなポイントは、インターネットを使わずに機能することだ。通常、AIシステムはクラウド上で処理を行うが、「Chimaki」はその必要がない。これにはいくつかの大きなメリットがある。

1.セキュリティの観点
オンラインのAIシステムでは、データが外部に送信されるリスクがあるが、「Chimaki」はオフラインで動作するため、そのリスクを大幅に低減する。特に、自治体や金融機関のように、機密性の高い情報を扱う環境での利用に適してる。

2.コストの観点
クラウドサービスに依存しないため、従量課金の心配がなく、定額制で利用できる。これにより、予算管理がしやすくなり、長期的なコスト削減にもつながる。

3.インフラの観点
インターネット接続が不安定な地域や、セキュリティが重視される場所でも、「Chimaki」はその力を発揮する。地方や災害時のバックアップシステムとしても非常に有効だ。

実際の利用事例とフィードバック

「Chimaki」は現在、加茂市役所や商工会議所、大学などで試験導入されており、その効果は高く評価されている。K-walkの永山代表によると、利用者からは、「システムの導入により、業務の効率化が進み、特にデータの検索や管理がスムーズになった。また、完全オフラインということで、情報漏洩のリスクを心配することなく安心して使えている」との声があるという。

さらに、K-walkは「Chimaki」の導入を検討している他の自治体や中小企業向けに、無料のデモを実施している。(無料のデモは、今後予告なく中止または条件付きなる場合がある)

実際に「Chimaki」を体験した企業の担当者からは、「簡単な操作で高度な機能が使えるため、特にITリテラシーが高くない社員でもすぐに使いこなせる」との好評を得ている。

生成AI「Chimaki」の3つの動作モード(提供:K-walk)

「Chimaki」の性能は最新の生成AIと比べてどうなのか?

「Chimaki」は、完全オフライン対応の生成AIシステムとして設計されているが、読者の皆さんの中には、ChatGPT、Claude、Geminiといった最新のオンライン生成AIシステムと比べて、性能はどうなのかと気になる方も多いだろう。特に、これらの高性能で進化の早い大規模言語モデル(LLM)を搭載したAIと勝負になるのか、という疑問が浮かぶかもしれない。

まず、「Chimaki」が採用しているのはオープン言語モデルだ。一方で、ChatGPTやClaude、Geminiなどはクローズ言語モデルを使用している。オープン言語モデルには多種多様な選択肢があり、それぞれの用途やニーズに応じて最適なモデルを選んだり、必要に応じて別のモデルに置き換えたりすることが可能である。これにより、「Chimaki」は利用シーンに応じた柔軟な対応ができる点が大きな特徴だ。

では、オープン言語モデルは、クローズ言語モデルを使用した生成AIと比べて、性能面でどうなのか?という点だが、ここが興味深いところである。

2024年6月27日にGoogleが発表したクローズ言語モデル「Gemma」に関する研究、引用:「Gemma 2: Improving Open Language Models at a Practical Size」1ページ目より)
オープン言語モデルのElo(相対評価値)が上位クローズモデルに迫る高い評価を得ている(引用:Google社発表「Gemma 2: Improving Open Language Models at a Practical Size」8ページ目より)

Googleが発表した資料によると、オープン言語モデルの「Gemma」に関する研究で評価されたEloスコア(相対評価値)を見ても、上位にはChatGPTやClaude、Geminiといったクローズ言語モデルが並んでいる。しかし、同時にオープン言語モデルであるLlamaやGemma、Atheneなども、これらの最上位モデルとほとんど差がない評価を受けていることがわかる。

特に、Gemmaのようなモデルは、旧バージョンのChatGPT3.5や4.0よりも高いスコアを記録しており、クローズ言語モデルとの性能差がそれほど大きくないことが確認されている。

このように、オープン言語モデルを使用している「Chimaki」も、クローズ言語モデルに負けない性能を持っているといえる。オープン言語モデルは、クローズ言語モデルに追いつけ追い越せと日々進化しており、その競争力は高まっているのだ。したがって、「Chimaki」は、セキュリティやコスト面での利点を享受しつつ、性能面でも十分に優れた選択肢となるだろう。

アップデートは?「Chimaki」の運用とサポート体制

「Chimaki」を安心して使い続けるために、K-walkは充実したサポート体制を整えている。同社CDOの波塚飛鳥さんは、「ユーザーからのフィードバックを重視し、常にシステムの改善やアップデートを行っている。また、各企業や自治体ごとのカスタマイズにも対応しており、導入後も安心して利用できるようなサポートを提供している」と語る。

生成AI「Chimaki」解説(提供:K-walk)

アップデートについては、オフラインであることを考慮しつつも、最新技術を取り入れるためのプロセスが設けられている。K-walkは、ユーザーの希望に応じて更新できる仕組みを提供し、「Chimaki」が常に最高のパフォーマンスを発揮できるよう努めているのだ。

K-walkのビジョンと未来展望

株式会社K-Walk(新潟県加茂市)の取締役・CDOの波塚飛鳥氏(左)と、代表取締役の永山光夫氏
株式会社K-walk 取締役・CDOの波塚飛鳥さん(左)と、代表取締役社長の永山光夫さん(右)

K-walkは、「Chimaki」を通じて地方からデジタルイノベーションを推進することを目指している。同社代表の永山光夫さんは、「地方の中小企業や自治体が抱える課題を解決し、DXを推進するためには、シンプルで効果的なソリューションが必要だ。『Chimaki』はその答えとなり、地域社会に新しい風を吹き込む」と自信を見せています。

さらに、K-walkは「Chimaki」の技術を進化させ、全国、さらには世界に広げていくことを目指しています。地方から生まれたこの技術が、今後どのように社会に貢献していくのか、その展望に期待が高まる。


【企業情報】
株式会社K-walk
新潟県加茂市穀町9-8 水田屋ビル1階(こいて内)
ホームページ:https://k-walk.co.jp/


安全な基盤が創造性を育む

安全で整備された公園で子どもたちが自由に遊び、創造力を伸ばすように、「Chimaki」が提供する安全なオフライン環境は、組織が安心して技術革新に取り組むための土台となりえる。リスクを排除することで、真のイノベーションが生まれるだろう。

「Chimaki」は、そのような安心できる基盤を地方から提供し、新たなデジタルイノベーションを支える存在となるのではないか。編集部では引き続き「Chimaki」に注目していきたい。

「Chimaki」特設ページ

株式会社K-walk

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